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TSF画像掲示板(たちは板η)


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画像タイトル:1596651735432.jpg-(420823 B) [削]
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420823 B無題 Name きよひこ 2020/08/06(木)03:22 id:Lh39IilY No.30238   [GJ]  [Boo]  
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!
このスレは古いので、もうすぐ消えます。
無題 Name きよひこ 2020/08/11(火)20:04 id:p14Tm/qo No.30358   [GJ]  [Boo]  
 俺こと、『野口太郎』はリストラにあった。
 もともとあった会社の営業不振にコロナウィルスがとどめをさした。
 同僚の何人かも同じようにリストラされ、仕方がないと思ったが、社長は相変わらず羽振りがよかった。
 会社に残った元同僚から話を聞くと、行政からの支援金をたらふく溜め込み、自分の懐に入れていたことがわかった。
 そこで、おれは社長に復讐をすることに決めた。

 俺にはもともと兄弟もおらず、親も死んでいるため親族はいない。
 そのため、犯罪に手を染めようとも思ったが、あの社長のために俺の手を汚すもの勿体ない、などいろいろ考えながら歩いていた時に、ある路地裏の占い師から声を掛けられた。

 「復讐したい相手がいるんだろう」

 そう、低い声で話しながら、占い師は緑色の液体が入った小瓶を懐から出してきた。
 その占い師の話によると、これは『憑依薬』で憑依したい相手をイメージしながら飲むと、その相手に憑依することができる、とのこと。
 まぁ、かなり怪しい。俺の苦虫を?み潰したような表情を見ればだれだって、『復讐をしたい相手がいる』ことはわかるだろうし、そんな表情をみなくても大半の人間は大小はあるだろうが『復讐をしたい相手』はいるため、「復讐したい相手がいるんだろう」はこの占い師の常套句なんだろう。
無題 Name きよひこ 2020/08/11(火)20:05 id:p14Tm/qo No.30359   [GJ]  [Boo]  
 明らかに詐欺と思ったが、俺は「で、いくらするんだ?どうせ高いんだろ?」と、つい言葉を返してしまった。

 「おぉ、そう来たか。どうせ詐欺と思っているだろ。まぁ、この薬を渡したら、楽しいことに使ってくれそうだから声を掛けたまでだよ。だから、ただで譲ってあげるよ。ならんら、一緒にリストラされた同僚の分も1個おまけで譲ってあげるよ。」
 
 リストラのこと等は言っていないが、占い師はその事を言い当ていた。
 また、いつのまにか占い師の手には1個しかなかった小瓶が、いつのまにか2個に増えていた。

 「どうして、リストラのことがわかったのか?って顔をしているな。お前さん、そう野口太郎のことならなんでもわかるよ。」
無題 Name きよひこ 2020/08/11(火)20:05 id:p14Tm/qo No.30360   [GJ]  [Boo]  
占い師はヒヒィと笑いながら、名乗ってもいない俺の名前を当て、さらに話を進める。

 「そうだねぇ、復讐をする方法なら、元社長の娘に憑依してはどうかね?」

 今度は復讐をしたい相手のことまで当ててきた。

 「高校生の娘が2人いるから、まずはお前さんがこの長女に憑依してからこの『憑依薬』の真偽を確かめてはどうかね。」

 そして、元社長とその妻、娘達が写っている家族写真までだしてきた。

 「社長の妻も魅力的だけど、もう年ただからねぇ。若い娘が何にしろ、いいと思うよ。」

 俺は「えっ!!」としか、驚くことが出来なかった。
無題 Name きよひこ 2020/08/11(火)20:05 id:p14Tm/qo No.30361   [GJ]  [Boo]  
 「さぁ、これを持って行きな。お代はただにしておいてやるから、できるだけわしを楽しましてくれよ。使い方はさっき言った通り、この写真に移っている元社長の娘をイメージしながらこれを飲むだけだよ。そしたら、お前さんはこの娘に憑依しているよ。」

 「大丈夫、憑依したらこの娘の記憶も知識も使えるようになっているから心配することはないよ。」

 占い師は話し終える前に手に持った2個の小瓶を俺に渡してきて、俺はそれを拒否することが出来ずに受け取ることしかできなかった。
 一瞬、受け取った小瓶に目をやり、再度前を向くとそこにいた占い師はいなくなっていた。
無題 Name きよひこ 2020/08/11(火)20:05 id:p14Tm/qo No.30362   [GJ]  [Boo]  
アパートに戻り、時計をみると時間は21時を過ぎていた。
 テーブルにおいた小瓶を眺めながら、悶々と考えた。3時間ぐらい考えた結果、俺はこの憑依薬を飲むことに決めた。
 この歳だと再就職できるかわからない。このまま生きていても楽しいことはないだろう。この薬が偽物で自分が死ぬことになっても、だれも悲しむことも無い。だったら、あの占い師が言う通り元社長にできうるだけの嫌がらせをしたい。あの娘に憑依できら、社長の娘になるのだから、お金に困らずに生きることもできる。
 そう考え、そう自分に言い聞かせながら、占い師が見せた元社長の長女をイメージしながら小瓶の蓋を開け一気に緑色の液体を飲み干した。
無題 Name きよひこ 2020/08/11(火)20:05 id:p14Tm/qo No.30363   [GJ]  [Boo]  
次の瞬間、目を開けると俺は布団の中にいた。
 布団はアパートにある安い布団ではなく、やわらかい羽毛布団だった。
 「あの薬は本物だったのか」
 俺が発した言葉なのだが、聞き取れた声はかわいい女の子の声だった。
 目を下にすると、見慣れないつのふくらみがあった。そこに手を持ってくると、細い腕と手がそのふくらみに近づく。そのまま、胸をもむように手を動かすと、あたりまだか手が胸を揉む。
 ブラジャーをしていないため、胸の柔らかさがそのまま手のひらに伝わる。
 「あっ……」
 小さなかわいい声が自分の口からでた。
 全身を見てみたいと思い、ベットから起き上がり、部屋に置いてある鏡の前に立つ。
 知らない部屋なのに、自然とどこに何があるかわかる。だから鏡の場所もすぐにわかった。
 鏡を見てみると、そこには写真に写っていた元社長の長女の姿が映っていた。水色のワンピースタイプのパジャマでボディラインはわからないが、顔は小さく、綺麗な面立ち、胸はパジャマごしでもわかるぐらい大きい。
 「あの社長の娘なのかと疑いたいぐらいの可愛らしさだな。」
 独り言をつぶやいていると、昔の記憶を思い出すようにいろんな情報が頭の中に入ってきた。
無題 Name きよひこ 2020/08/11(火)20:06 id:p14Tm/qo No.30364   [GJ]  [Boo]  
 『私の名前は本間 理沙(ほんま りさ)。白金高校の3年生。部活はチアリーディング部だったけど、もう引退をしている。スタイルはまぁまぁで、胸がEカップでちょっと大きいのがコンプレックス。妹、お母さんは大好きだけど、お父さんは下品な面があるからちょっと嫌い。』

 「へへ、元社長、嫌われてんなぁ。」
 
 浮かんだ情報に対して突っ込みをいれていると、何か違和感があった。

 「いや、違うな。今は私が理沙だから、『お父さんは嫌い』って感じか。」

 そう、言い直すと、自分の中にすんなり言葉が落ちた。

 そうしていると『はやく寝ないといけない』との言葉が頭に浮かんできた。
 『なんでだ?』と、理由を考えている。
 すると、『明日は彼氏の武田君とのデートの予定。10時に駅前で待ち合わせだから、早く起きて準備が必要』との情報が浮かんできた。

 「なら、早く寝るんじゃなくて、明日着ていく服を今から準備しなくちゃね。」
無題 Name きよひこ 2020/08/11(火)20:11 id:p14Tm/qo No.30365   [GJ]  [Boo]  
そう言いながら、下着があるタンスの引き出しを開けて、一枚一枚どんなパンツかを確認していく。
まずは理沙のお気に入りはシンプルなピンクのパンツ。シンプルで可愛いが、なにぶんシンプル過ぎて男受けは悪そうだ。

 「私が男だったら、白の可愛いレースが沢山ついているこれがいいと思うなぁ。」

 理沙的にはあまりお気に入りではない、白のパンティを広げる。記憶によると、父:元社長からのプレゼントらしい。
 『娘にパンツをプレゼントするなんて気持ち悪い。だから嫌われるんだよ』と思いながらパンツを選んだ。ブラはそれとセットになっているもので、これもレースが沢山使われているデザインだった。
 
無題 Name きよひこ 2020/08/13(木)14:42 id:YAPzffcQ No.30410   [GJ]  [Boo]  
高級品なのだろう。シルクの肌触りは心地よく思わず頬ずりしてしまう。
『自分の下着に欲情するとか私は変態か?』と思考する理沙ちゃんの頭に
「そうだよ。私は自分の体に興味津々な変態なんだ」と俺の精神が答える。

パンツの匂いを嗅ぎ、幸せで肺を満たしながら姿見の前に立つ。
鼻息荒くふがふがと自分の下着の匂いを嗅ぐ美少女という倒錯的な絵が鏡に映る。

「理沙ちゃん、君の体見せてもらうよ。いいよね?」
「もちろん。私が自分の体を見るのに許可なんているの?好きなように見て頂戴」
無題 Name きよひこ 2020/08/14(金)02:58 id:VTyR6ev. No.30419   [GJ]  [Boo]  
自分で自分に問いかける。傍から見たら気持ち悪い光景と思うが、整った理沙の外見であれば
恐らく様になっているであろう。身体のコントロールを奪われ、記憶を覗き込まれ、所持品も
部屋も好き放題蹂躙されている理沙に問いかけ、自分で勝手に「理沙」として許可を与える。
それは、彼女が17年かけて大切に作り上げてきた自らの肉体を、名前も知らない「太郎」に
好きなように検分させる、まさに屈辱のような出来事であったが、意志を奪われた理沙の肉体は
太郎の指示をアウトプットするツールに過ぎず、その指示を太郎にすべて委ねてしまっていた。

部屋の中に姿見があったのでそちらへと向かい、彼女を鏡の前に立たせてみる。移動する際に
伝わってくる胸元の2つのふくらみの感覚が、この肉体が巨乳であることを如実に示している。
揺れる髪の毛と、漂ってくる女の香りとシャンプーの匂いが交じり合う。身体は慣れているの
だろうが、俺にとっては初めての感触で、とても心地が良かった。
無題 Name きよひこ 2020/08/15(土)23:05 id:LQZpqj2E No.30474   [GJ]  [Boo]  
高鳴る胸の鼓動を聞きながら、パジャマのボタンに手を掛ける。
「太郎」の精神にとっては違和感のある逆のボタンも
「理沙」の体にとっては普通のことでごく自然に外すことができる。

「それじゃ本人の許可ももらったし遠慮なく……ほれ!」
ボタンを全て外し、一息つくと俺はパジャマを開いて理沙の裸体を鏡の前に晒す。
無題 Name きよひこ 2020/08/15(土)23:09 id:LQZpqj2E No.30475   [GJ]  [Boo]  
「おおっ……、すげぇ、これが俺、いや私か。」
整った綺麗な顔、大きく豊かな胸、ほっそりとくびれている腰、
そしてチアリーディングで鍛えたお尻。

この全てが今や自分の物だという事実に口の端が釣り上がってしまう。
無題 Name きよひこ 2020/08/15(土)23:50 ID:1/eeLYeM No.30477   [GJ]  [Boo]  
本来であれば自分の姿を見ることに何の不思議もないことであるが、身体に
巣食う俺の精神は、彼女の、理沙の肉体に興奮を促してしまう。理沙としては
見慣れている身体なのにも関わらず、自分に欲情してしまっている感覚に、
身体は戸惑っているようであった。

「ね、寝る前だけど少しくらい、やってもいいよね・・・?」
無題 Name きよひこ 2020/08/16(日)15:28 id:Q0BaWOf6 No.30497   [GJ]  [Boo]  
理沙が備わっている豊満な胸を揉んで自分の性欲を満たそうとしたが、ぐっと手を止めた。
「今は別に良いや、いつでもこんな風に胸を揉むことが出来る。一番重要なことは理沙の記憶を完全に読み取って、ボロが出ないようにすることが最優先だ」
俺は今すぐ切り替えてすぐにでも理沙になりきる為にあらゆる彼女の情報を集め始める。全ては復讐の為に、リストラした社長に一矢報いる為に利用しなければならない。
「彼氏の武田君とのデートは中止にして、理沙の親友と遊ぼうかな。女の子同士の方が個人的に楽しみでもあるし、何よりも」
その親友と仲良くなって欲しい物を手に入れる。社長が理沙の親友に何か手渡している事は既に目撃しているが、あれはメモリースティックだ。中身は不正や隠したい物が幾つも入っている、憑依薬の効果は確かめた事だからその親友に憑依するのも一つの手だが、それをやるとこれからの人生を歩むことが確定することになる。そのため、理沙の身体で復讐を遂げなければならない。
無題 Name きよひこ 2020/08/16(日)16:20 id:v3WiL7oE No.30498   [GJ]  [Boo]  
スマホを手に取りパスワードを解除し終えた俺は、デートを中止する内容等考えた上でメッセージを送り、返事は了解と此方の事を心配する内容が返って来たためどうやらばれていないようだ。文章面に置いては馴染んだみたいだ、理沙の親友と連絡を取るためにリストを調べてみると該当する人物は居た。早速遊びに行くかどうかメッセージを送ると即答で大丈夫と来たみたいだ。これで明日はその親友から幾つか情報を得るきっかけを作ることに成功した。
無題 Name きよひこ 2020/08/16(日)21:56 ID:3kePDXuw No.30505   [GJ]  [Boo]  
「・・・、そう言えば、1回「俺」の家にも行かないとだめか」

理沙の脳が俺に警鐘を鳴らしてくる。憑依薬か何かは分からないが、少なくとも薬は
2本貰っている。そのうちの1本を使うことで俺はこうして元社長の娘、理沙の肉体と
記憶を頂くことが出来たのだが、もう1本の存在を明るみにするわけにもいかないだろう。
憑依薬であれば、リストラされた誰かを理沙の妹か親友にでも憑依させて、2人がかり
で復讐を為してもいい。違うなら違うで、何か使えるかもしれない。いずれにせよ元々の
俺の肉体がどうなっているか分からない以上、早めに済ませたほうが足が付かない。
俺が持ち込んだ情報から理沙の脳はそう推測し、答えをくれた。

それにしても、さすがに社長の娘だけある。いい教育を受け、優れた素養を持っている
ようだ。頭の回転も速いし、詰まっている知識もかなり豊富だ。同年代の少女と比較し
ても必要以上のデータが入っている。理沙の記憶によれば、会社の跡を継がせるなり、
どこぞのいいところに就職させようとしていたらしい。下着まで贈ってくるのも、
そうして「自分の手の届くところに置いておきたい」という思いの裏返しなのかもし
れない。まさか、その大切な娘があろうことかリストラしたはずの有象無象に肉体と
人生を奪い去られ、あまつさえ自分に刃を向けようとしているとは、夢にも思わない
だろうが。
無題 Name きよひこ 2020/08/17(月)12:40 ID:7aFcZGz6 No.30526   [GJ]  [Boo]  
頭の中でこれからどうするべきか思考していると、三点程思い付いた。一つ目は理沙の親友から幾つかの情報を得る事、生前から女の子同士での遊びは疲れるしかないイメージがあるのだが。今の俺は理沙だ。彼女の親友はプロポーションとかは抜群で写真を見る限り恋人にしたいくらいの魅力がある人材。考えるだけでも今すぐスキンシップとかしたいと考えてしまう。二つ目は俺の家に向かって元の身体はどうなっているのか確かめることだが、一番の優先順位はこれなのだが。親友との遊びが終わってからでも遅くはない、お泊まりになったとしても充分大丈夫みたいだ。三つ目はリストラになった仲間を探すこと、憑依薬を分けることも考えているがあくまでこれは妥協案として意識をしておこう。そう言えば、俺と同じようにリストラになった一人の女性が居たような感じがするがまた後で考えれば良いか。
無題 Name きよひこ 2020/08/17(月)17:31 id:Mrt10Of6 No.30529   [GJ]  [Boo]  
「漸く馴染んで来たかな?」

理沙の情報を全て掌握した俺は早速意識を切り替える事にする。今は何となくと言った感覚で理沙の口調を真似ているのだが、気を抜くと俺の口調へと喋ってしまう危険性がある。他人の身体だからどうでも良いと思考するかもしれないが。これからは理沙の身体で人生を歩む可能性が極めて高いのだ。彼女らしくない行動をしないためにも失念が無いようにゆっくりと目を閉じた後、再び目を開く。

「私の名前は本間理沙。白金高校の3年生、部活はチアリーディング部で、もう引退をしている。コンプレックスは胸が大きい事、妹、お母さんは大好きだけど、お父さんは大嫌い。彼氏の武田君と付き合っているけど浮気とかしていそうで別れたいと思っている・・・ふふっ、漸く新しい私になれたわ』

理沙の身体を完璧に支配した俺は普段の口調で話そうとすると理沙が話したように変換される。俺と言おうとしたら私と言ったのだから間違いない。
無題 Name きよひこ 2020/08/17(月)17:41 id:Mrt10Of6 No.30530   [GJ]  [Boo]  
「・・・私に完璧を演じる事が出来たのは安心したけど、元の私の心は正直な反応を示すのは仕方がないか」
理沙の情報を完璧に取り込む事が出来たが、やはり理沙本人になりきるのは無理があったみたいだ。その証拠に理沙の身体を見るだけで豊満な胸を揉んで欲求を満たしたいとか理沙の親友と会ってスキンシップとかしたいとか俺好みの可愛い女の子を見れば興奮してしまう。男に犯されると理解したら流石に俺でも拒否する、ち○ぽが無いと生きられないと言った最悪な展開になることだけは避けたい。これでは社長に復讐を遂げることが出来ないからだ。
「お父さんにハニートラップとか考えたけど、それはあまりにもリスキー過ぎる。元の私が壊れる可能性があるし・・・まずは私の評価とか親友に聞いて不自然な動きが無いようにコミュニケーションを取るのが無難かな」
暫く頭の中でこれからの方針を立てた後、ベッドに寝転んで休むことにした。明日は親友と遊ぶ事になるのだから、地道に情報を集めよう。
無題 Name きよひこ 2020/08/18(火)00:28 id:TFjckyVY No.30535   [GJ]  [Boo]  
   
-----

部屋に差し込む柔らかな光とともに目が覚めた。少し身体がぼんやりとしているが、
記憶によるとどうやら理沙は少し低血圧気味のようで、朝は少し苦労しているらしい。
伸びをしたり、軽く手足を回すと段々と意識が冴えてきた。時間を見ると6時45分であった。
普段の私とさして変わらない時間に目が覚めたのは、私の習性か、それとも理沙の習性だろうか。
しかし、低血圧での寝覚めでもなお、「太郎」であった頃と比べると遥かに爽やかで、清々しい
朝を感じることが出来た。これも若く健康な肉体の為せる業なのだろうと、自らが理沙の身体を
支配していることに興奮してしまう。

おっと、これではまずい。今日は彼女の親友に会い、情報を入手することが最大の目的だ。
そのために乗り気ではなかったが、わざわざ彼氏とのデートを断ってまで遊びに行くことに
したのだから、ここで気を抜くわけにはいかない。出来れば「俺」の部屋にも訪れて薬の
回収と、元々の俺がどうしているかを確認したいところだが、まずは親友が優先だ。
理沙の脳をかき回し、彼女の人格情報を呼び覚ましながらどうにか興奮を抑える。理沙の匂いに
包まれたこの部屋で抑えるのはなかなか難しかった。

「とりあえずはまず、バレないように振舞わないとねっ」
無題 Name きよひこ 2020/08/18(火)12:36 id:M2FiDbm2 No.30553   [GJ]  [Boo]  
理沙の部屋に出た俺は朝食を食べることになったのだが、使用人の存在に失念していた。豪華な家だから居るとは推測していたのだが、理沙の記憶を完全になりきらなければ違和感とか感じられたかもしれない。化粧や女の子にとって必要な事は理沙になりきって行ったのだが洗顔や化粧水など、準備に時間がかかったのは仕方がないと割りきるしかない。両親は外出しており、今家に居るのは自分と使用人の2人だ。メイド服とか着ているとはこれはこれでありかもしれない。朝食を食べ終えた俺は使用人に外出すると伝え、無事に外出する事に成功した。

「何とか切り抜けた、気を抜く場面が幾つかあったけど。ボロが出なくて本当に助かったわ」

誰も居ないことを確認した俺は理沙の記憶を完全に掌握して正解と理解した、スマホを手にとって今後のプランを確認する。今から会う人物は理沙の親友でどんな情報を得れば良いのかメモをしているのだが、理沙の親友の近くに俺の家があると言う事実に驚いたのもある。

「・・もし、お泊まりになったらその帰りに元の私の家に寄れば問題ないか。いや、寧ろ泊まった方が好都合かもしれない」
無題 Name きよひこ 2020/08/18(火)12:44 id:M2FiDbm2 No.30554   [GJ]  [Boo]  
理沙の親友の家に泊まることが出来れば家の探索やメモリースティックを見つけてコピーとか出来るかもしれない。無事にお泊まりが終わったら、俺の家に立ち寄って憑依薬を回収と俺の身体の安否が確認出来る。お泊まりが出来なくても理沙の親友から幾つかの情報を得るだけでも充分だ。幸運なのは彼氏の武田君は自宅で勉強するとか言っていたら、偶然ばったり会うと言うトラブルなどは無いはず。予定通りに待ち合わせの場所へ辿り着き、待っていると一人の美しい女性が此方に近付いてきた。真っ白な白い肌に凛とした瞳、ミステリアスな雰囲気を漂う女性は此方の姿に気が付くと満面な笑みを浮かべる。この時、俺は不覚にも一目惚れをしまいそうになる。目の前にいる理沙の親友を恋人にしたいと頭の中に過ってしまう位だ。
無題 Name きよひこ 2020/08/18(火)17:29 id:zS9ouDBo No.30559   [GJ]  [Boo]  
「おはよう、理沙。今日は随分と早いわね。急に連絡が来たから驚いたわ」
「ごめんね、明日予定が空いたからさ。お父さんとお母さんは家に帰ってこないとか言われて暇を持て余してしまって」
思わず素の口調で対応してしまったが、理沙の口調へと勝手に変換されて理由について無意識で喋ってしまう。今の俺の精神は色々と暴走してしまっている、表情こそは完全に理沙として振る舞っているが既に身体は反応してしまっている。元の身体ならあそこが目立つが女の子の身体で良かったと安心してしまう。少しずつ濡れていく感覚がするが、少し我慢するしかない。
「ふふっ、それならいつも通りに私の家に泊まる?どうするかはお任せするけど」
「うーん、考えておくよ。今は遊びたい気分だからさ」
お泊りの話が出たが、今すぐ決めるわけにはいかない。一先ず話に合わせることを優先しよう。
無題 Name きよひこ 2020/08/19(水)01:12 id:zlHFnFx6 No.30571   [GJ]  [Boo]  
「あら、珍しくつれないわね。いつもなら遊びに来るじゃない」
「あっ、ごめんごめん!お父さんとお母さんがいないから、妹一人にするのもちょっと可哀そうかなって」

何とかそれらしい理由を作ってごまかしたが、まだまだ理解が足りなかったようだ。理沙の記憶に
よれば、元社長、いや、お父さんが戻ってくる日はあれやこれや理由をつけて誰かの家に泊ることが多い
らしい。特に快く泊めてくれる子が、この親友の子であるようだ。

「ふーん、まあ、泊まりたくなったらいつでも言ってね。私は大歓迎だから。」
「いつもごめんね・・・?」
「大丈夫よ?両親も理沙だったらいつでも来てくれていいって言ってるし、ね?」

そう言って親友はウィンクする。正直なところ、泊まるのは覚悟がいりそうだ。理沙の記憶では
当たり前の出来事のはずなのだが、「俺」が邪魔をする。彼女の挙動のいちいちが可愛らしく、その
ミステリアスな魅力を最大限に引き出している。理沙の身体にいくらか馴染み、記憶を引き出すことが
出来るようになったとはいえまだまだ付け焼刃、暴走しそうな「俺」を理沙の記憶で何とか抑え込んで
いる始末だ。これで一夜を共にするとなると、果たして理性を抑え込めるだろうか。幸い、結構急に
頼んでも泊めてもらえそうではあるので、1日過ごして考えることにしよう。
無題 Name きよひこ 2020/08/19(水)12:33 id:mW8eXVPg No.30580   [GJ]  [Boo]  
理沙の記憶を引き出した情報によると、ミステリアスな魅力を漂う美少女の名前は燐火ちゃん。彼女の美しい容貌で男性からは付き合おうとする人が多くて学校では注目を浴びている。理沙も同じように彼氏の武田君の熱心なアプローチに負けて付き合う事になってしまっているが、燐火ちゃんに彼氏に対する愚痴を溢したりする仲だ。しかも元社長と燐火ちゃんの父親は昔から付き合っていると言う事もあり、幼い頃から家に泊まったりすることが多々あったりしている。理沙の視線では一番信頼出来る親友として認識しているようだ。それにもう一つだけ信じることが出来ない情報があるのだが、改めて燐火ちゃんに訪ねることにする。

「そう言えば、燐火。近くに住んでいる太郎さんだったかな。どうして彼の事を尊敬しているの?」
無題 Name きよひこ 2020/08/19(水)12:42 id:mW8eXVPg No.30581   [GJ]  [Boo]  
「私は太郎さんのお陰で此処に居るのよ。彼は覚えていないでしょうけど、中学生の頃に苛めを受けているところを助けて貰った。あの時の彼はかっこ良かった、一目惚れをするくらいにね。結婚出来るのなら彼を支えたい位・・・って、何を言わせるのよ、馬鹿!」
「うわっ、ちょっ、ごめん、ごめん!胸とか触らないでよぉ!」

燐火ちゃんが理沙の豊満な胸を触れるせいで気持ちの良い電流が流れてしまうが必死に堪えた。気を抜くと理性が暴走してしまいそうにもなるが、まさか燐火ちゃんが俺に対して好感度が高いとは信じられないな。確かに俺は苛めを受けている女子のグループを目撃したけど、大人の常識とか証拠の写真とか撮って脅した事がある。あの頃の俺は入社したばかりだから、調子によって正義の味方になろうとした記憶があるけど。これは嬉しい誤算だ、中身が俺だと打ち明けると事情を把握してくれる可能性があるかもしれないけど。俺は憑依薬を使って理沙の身体を勝手に操っている立場だ、それを踏まえた上で復讐しようと手段を選ばないと決意している。燐火ちゃんの事を少しずつ知れば、打ち明けても良いかもしれない。頭の中に入れておこう。
無題 Name きよひこ 2020/08/20(木)06:40 id:q5x.GV5k No.30600   [GJ]  [Boo]  
信頼している人物に対して絶望へと叩き込むことが出来るし、その反応を楽しむのもありだろう。状況次第でもあるが燐火ちゃんは利用価値はある。憑依薬を使って身体を奪うのも一つ、社長に復讐を成し遂げた後。此方の家はどんな状況になるのか想像出来るのだが。

どんな方法で復讐するのかが問題だ、会社の不正な証拠を叩きつけるとかが考えられるけど。それも踏まえた上で整理をするとした方が好ましいな。
無題 Name きよひこ 2020/08/21(金)02:11 id:Uds8b9GM No.30623   [GJ]  [Boo]  
そのためにも、まずはやっぱり情報が必要だ。せっかく取り付けた燐火ちゃん
との遊びのひと時、大事にする必要がある。そして何より、俺が理沙として、
ひいては憑依した身体の持ち主と遜色ないように振舞えるよう練習する必要も
あるのだ。

「もう、どうしたの理沙。ちょっと顔が怖いよ?」
「えっ、ああごめんごめん!ちょっぴり思い出してさ・・・」

どうやら表情に出ていたようだ。理沙の脳から自然な笑みを引き出し、回答も
構築する。燐火ちゃんが怪訝そうな顔をしているが、どうにかごまかした。
燐火ちゃんがお買い物をしたいということで、取りあえずショッピングモールに
来ている。理沙自身も化粧品やら参考書やら欲しいものがあったようなので、
その辺についても一緒に買ってしまうことにする。
しかし、さっきまで完全に失念していたが、まさかこんなかわいい子が俺に思いを
抱いているとは思っていなかった。そのくらいに、燐火ちゃんは可愛らしかった。
こんな子と付き合っていれば人生も変わっていたかもしれない。そんな俺の可能性を
摘み取った社長への復讐心は、否が応でも高まっていった。
無題 Name きよひこ 2020/08/22(土)06:59 id:LDNjxfRU No.30641   [GJ]  [Boo]  
ショッピングモールにある理沙のお気に入りのブランドで服を選んでいると、とても楽しい気分になっていることに気付いた。
男の時はユニクロジーパンにTシャツを買うのがルーティンだった。しかし。女で、スタイルがいいと何でも似合うため、コーディネートを考えること自体が楽しく感じられた。
理沙の記憶をたどりながら、理沙が選ぶ様な服を選んでいたつもりだったが、いつのまにか俺の趣味がはいった露出度が高い服を選んでいた。
やばいと思って、服を戻そうとしたら燐火が、
「前から思っていたけど、理沙はスタイルがいいんだから、そんな服も似合うと思うよ」
と、話しかけてきた。
「そ、そうかなぁ」
「とりあえず試着してみてよ。」
燐火はそう言いながら、背中を押して俺を試着室に押し込んだ。
無題 Name きよひこ 2020/08/24(月)22:28 id:AQb3ZNoM No.30694   [GJ]  [Boo]  
燐火ちゃんに押し込まれてしまった以上、試着するしかあるまい。
今の服を着るときもそうだったのだが、女性物の服装を着る知識は生憎と持ち
合わせていない。しかし、理沙の身体が覚えているのだろう。手慣れた手つきで
スカートを脱ぎ、上着を脱いでいく。

「やっぱり理沙ちゃん、スタイルいいよなぁ・・・」

下着だけの姿になった理沙の肉体を見て、改めて感心する。よくもまああのクソ
社長の精子からこれだけの身体を持った女の子が生まれたものだ。整った顔立ち、
豊満な胸元、引き締まったウェスト、魅力的な太もも、健康的な身体つき、それで
いて心もかなり真っすぐ育った辺り、教育方針が果たしてどうなっていたのか、疑問
は尽きない。これなら理沙の性格を使って敢えて素直になってみるのもいいのかも
しれない。そうやってボロを出させる、まるでスパイのような行動が出来ることに、
自然と興奮してしまっていた。

「っとと、危ない。お着替えお着替えっと」
無題 Name きよひこ 2020/08/25(火)00:19 id:jyVMkwEM No.30698   [GJ]  [Boo]  
燐火ちゃんが選んでくれた服は、ウサギをかたどったテニスウェアであろうか。頭に付ける
白のリボンに、おそろいの白いスカート、普段使いと兼用できる、紫を基調としたスポーツブラで
あった。これでは、ブラジャーも外すしかないか・・・。着用してきた青いブラジャーを外した途端、
胸がばるんと震える。ホント、この子これをよく当たり前に受け止めてるなと、改めて感心してしまう。
本来の俺であったらそろそろ股間が元気になってしまうが、そこは何とか抑え込む。

理沙は良識をわきまえているらしく、脳からは理沙の必死の抵抗が送られてくる。こんな形で自分の
身体をさらけ出したくないのだろう。この抵抗はもはや本能だろうか。それを無視してこの服を着せる
ことに、身体を支配している征服感がむくむくと顔を出す。顔に出ていたようで、端正な顔立ちを下卑た
笑いで埋めてしまっていた。

「すげぇ・・・。こんなの記憶にもないや」

そこにいた理沙は、まさに健康的な女神であった。
無題 Name きよひこ 2020/08/25(火)17:17 id:GY0GYbPg No.30705   [GJ]  [Boo]  
思わず素の表情が出た為、すぐに理沙の人格を呼び寄せる。この表情を目撃されたら不審と思われてしまう事は間違いないだろう。憑依をしているのに理沙の心は必死の抵抗していると言うことは”本体の理沙”が俺と言う異物を此処から出そうとしているみたいだ。主導権を握っているとは言え、油断できないがある推理に辿り着く。

「(・・・ちょっと待って、この時点で本体である理沙が抵抗していると言うことは時間が立てばこの身体と別れる事になるってこと?)」

少しずつ心の中で焦ってしまう。油断すると本体が主導権を取り戻される危険がある、理沙の知恵を借りようとしたが女体の身体を味わいたいと思考が過ってしまうが。これは罠だとすぐに把握できた。
無題 Name きよひこ 2020/08/25(火)17:39 id:GY0GYbPg No.30706   [GJ]  [Boo]  
「(今まで理沙の思考で彼女になりきろうと結論に至ったのは昨日の夜だ。女体の快楽を味わう為に行動しそうになったけど、本体は”誘導”したんだ。俺が女体の身体を溺れされるように・・・仕向けた!)」

俺は女体の身体を触れたのは、初めての体験だ。快楽へ走ろうとはしたが、欲求を抑えて彼女の人格をなりきろうと切り替えたのが幸いだった。女体の快楽を味わえば意識を失ってしまい、異物である俺を追い出す危険性があるからだ。一歩間違えれば俺は憑依を解除させられたかもしれないし、もはや一刻の猶予は無い。

再度、目を閉じて意識を集中すると自分の身体に2つの魂の存在が確認できた。大きい魂は俺で、小さな魂は恐らく本体だ。

「(・・・もう、元の身体の戻るつもりは無い。全ては復讐の為。理沙の親友、燐火ちゃんを俺の色へと染めてやる。あんな可愛い美少女と付き合うためにも、この身体を寄越せ!!!)」

次の瞬間、俺の魂が小さい魂を取り込む。必死に抵抗するがやがてみるみると溶けて行くと同時にカチリと歯車が合う音が聞こえた。
無題 Name きよひこ 2020/08/25(火)17:53 id:GY0GYbPg No.30707   [GJ]  [Boo]  
「ねぇ、理沙。もう着替え終えたかしら?」
「ふふっ、ごめんね。自分の姿が可愛すぎて見惚れてしまったんだ。」
「あら、それは良かった。さっきよりスッキリした表情だし、いつもの貴女で安心したわ」
突然、燐火ちゃんが突撃してしまい慌ててしまったが無意識に”理沙の人格が表に出て来た”。口が勝手に喋って今までに無いこの感覚に興奮してしまうと同時に、身体全体が幾つか反応してしまうのは仕方がないと目を瞑るとして。焦りが無くなっているのだ、自分が言おうとする言葉を理沙の口調へと変換していく。先程までは下卑た笑いで埋めてしまっていたのに、魅力的な笑みへと変更されている。気が付くと先程着た服を購入して、燐火ちゃんとショッピングモール内で歩いているのだが。次から次へと燐火ちゃんの心を掴むように、口説いたりしていて本当に面白い。徐々に好感度が上がっていく感覚を味わう。
無題 Name きよひこ 2020/08/25(火)18:32 id:BmxI3ky6 No.30708   [GJ]  [Boo]  
一先ずこれから、どうするべきか思考することにした。

燐火ちゃんを先程と同じ様に理沙の魂を取り込んで一つにすることが出来れば、一気に復讐するチャンスが手に入れる事が出来る。更に理沙が知らない情報を手に入れる事が可能だからだ、元社長は燐火ちゃんの家との付き合いがあり、家族には知らせたくない機密のデータを預かっている可能性が極めて高いのだが。

その為に、憑依薬が必要であると上に折角手に入れた理沙の身体を離れる事になる。キスをして目の前に居る燐火ちゃんの身体に憑依して支配することも考えたが、それが本当に出来るのかが疑問だ。しかも、そんなことをすればどう考えても絶縁されると理沙の思考から結論が出ている。情報があるとしたら俺の事が好きと言う事だけ。

「そうだ、理沙。・・・私の家に泊まるかどうか決めた?」
「うーん、どうしようかな。今も迷っているんだけど、やっぱり泊まろうかな。一緒に眠りたいしね!」
「・・・ッ!馬鹿、声が大きいわよ。全く、理沙ったら」
無題 Name きよひこ 2020/08/25(火)23:33 id:jyVMkwEM No.30714   [GJ]  [Boo]  
照れている燐火も可愛いものだ。普段はミステリアスで寄せ付け難い雰囲気を持つ
彼女だが、寝静まったときのあどけない彼女の寝顔がまた可愛らしいと、理沙の記憶が
告げていた。いまや「理沙」となった俺にも鮮明に、恐らく本来の理沙以上にはっきりと
その光景が浮かんでくる。閉じられた瞳に長いまつげ、セットされていない髪の毛、力の
抜けた表情、白く、きれいに整った歯が覗く軽く開かれた口元、想像するだけで先ほどの
「太郎」であれば理沙の肉体を興奮させてしまっていただろうが、不思議とそのような
ことはなかった。理沙にとっては楽しみとはいえ見慣れた光景なのだろうと、結論付ける
には容易かった。何より、実の父親より心を許せる親友との一晩は、理沙にとっては翼を
休められる貴重な場所であるようだ。口に出してから心が上気しつつも落ち着いていた。

そして、そこには一つの打算もあった。

(眠っているうちに燐火の身体に乗り換えて、情報を抜き取ったりすることも可能か・・・)

比較的寝つきのいい彼女であれば、眠っているうちに口づけをしてもバレることはないであろう。
そして何より、彼女の住まいであれば自分の荷物を漁るも同義である。会社に関する情報も、
入手できる可能性も十分にあった。
無題 Name きよひこ 2020/08/26(水)00:04 id:kb001aDE No.30717   [GJ]  [Boo]  
ただ問題は、抜け出た後の「理沙」の器だ。今の俺は、理沙の魂を捕食したと
いっても過言ではないのだ。だからこそ彼女の肉体はすべてを俺に明け渡し、
思考や記憶、経験、「本間理沙」としての戸籍情報、人となり、人生、友人関係
など、文字通り全てを掌握できている。しかし、抜け出てしまったあとはどうか。
彼女の魂を肉体に戻せるのか、はたまた、魂の入ってない人形、それこそ肉塊と
なってしまうのか、まだまだ未知数であった。

(正直なところ、「理沙」には死んでもらうわけにはいかないんだよね・・・)

あのクソ社長の娘とは思えないくらいに、真っすぐ、誠実でいい子に育っていた
理沙には悪いのだが、この器は復讐にはもはや必須だ。今後の生涯を考えても、
頭もよく、運動神経や容姿にも恵まれた理沙という身体は手放したくなかった。

(うーん、やっぱり今日は情報を仕入れる以外、あまり無理しないで普通に
 「理沙」として身体を馴染ませながら楽しむことにしよう。よく考えたら
 家にいい「実験材料」もあるしね)
無題 Name きよひこ 2020/08/26(水)00:08 id:kb001aDE No.30718   [GJ]  [Boo]  
https://www.tsadult.net/h.tachiha/src/1597939854531.jpg

理沙の脳裏に、ある少女の顔が浮かぶ。理沙にとってはとても大切に、時に厳しくも
いつも親身に接してきた大切な妹、凪沙。高校1年生の彼女は理沙から見ても少し臆病で
怖がりだが、その分すごく心優しく、理沙よりさらに穏やかに育っていた。凪沙自身も
理沙を慕っているらしく、それがたまらなくうれしかった。そんな理沙は俺により支配
された結果、自分の半身のように大切に扱ってきた存在を、あろうことか実験材料として
選定するに至っていた。乗っ取った相手にも罠を仕掛ける、強かかつ優秀な理沙の頭脳が
最悪の方向に、俺にとっては最高の方向に働いてしまったことに、思わずクスリと笑ってしまう。

「もー、今日の理沙変だよー?なんかいいことでもあったの?」
「ふふっ、まあね。今日はとーっても、いい気持ちだよ」
「なんか普段の三割増しで可愛いんだけど、どしたの・・・?」

軽口を叩きながらもその毒牙を向けられようとしている親友に、バレないように振舞えたの
だろう。理沙の脳から出す「自然な笑み」の仮面の下で、俺はほくそ笑んでいた。
無題 Name きよひこ 2020/08/26(水)01:35 id:oJMst.g. No.30726   [GJ]  [Boo]  
燐火ちゃんの家に泊まることになった事が決まり、大切な妹である凪沙に連絡する。一緒にお泊まりが出来ればキスをすることで身体を乗っ取れるかどうか確かめることが出来たのだが。

「(・・・まさか、そっちも親友の家でお泊まりの予定になっているとはな。都合の良い方針に転がり落ちる事はないだろうな。幸い、一緒の部屋で眠ることになるのなら”仕込む”しか無いか)」

理沙の思考から自分がやりたいことをシミュレートしてみると問題なく違和感は感じない物だと判断した、早速実行することにしよう。

「ねぇ、燐火。薬局によっても良い?最近は夜とか暑くて眠れなくて」

「ふぅん、丁度良かったわ。私も最近寝付きが悪くてね、睡眠薬を購入しましょうか。眠る前に飲んだらぐっすり休むことが出来るもの」
無題 Name きよひこ 2020/08/26(水)01:54 id:oJMst.g. No.30727   [GJ]  [Boo]  
上手く誘導した俺は心の中でガッツポーズ、これで仕込みは済んだ。睡眠薬を無事に入手した俺は隣に居る燐火ちゃんの視線を向ける。改めて観察するとミステリアスな雰囲気を漂わせているその姿は今すぐにでも襲いたいくらいだ、思わず太郎としての表情を浮かべてしまうが、理沙の人格が本体である俺を隠すようにカモフラージュしてくれるから安心感がある。違和感は既に払拭されているが、やはり女体の快楽を味わいたくなるのも事実。

「・・・ねぇ、燐火。今日はちょっと重要なお話があるから、相談に乗って欲しいんだ。」

「相談?別に構わないわよ。どんなことでも受け入れるわ」

満面な笑みを浮かべる彼女だが、乗っ取る前に幾つかの情報を手に入れるためにも改めて相談する約束を取る事にした。聞きたい内容はメモしているが、もしかすると彼女は俺の為に動いてくれるかもしれない可能性がある。

元社長の家族・・・理沙の父親は燐火の身体を狙っているかもしれないと言う事実、ストーカーをしている事も僅かながらあるかもしれないが。それが真実かは理沙の記憶では判断できない。彼女に相談しようとしていた内容だから、そのまま伝える予定だ。罪を暴いた上で自分の身を安全であるためにも彼女の力が必要なのだから。
無題 Name きよひこ 2020/08/26(水)12:48 id:aZ9YcFvs No.30732   [GJ]  [Boo]  
無事に買い物を終えた俺達は早速燐火ちゃんの自宅へ向かうことになるのだが、どこからどう見ても“豪邸”としか表現できない、見晴らしのいい高級住宅街。しかも、広い。とにかく広いのだ。敷地に入るときにくぐった門がでかい。敷地を囲む外壁は長い。総合的に見て、理沙の自宅よりも同等かそれ以上の敷地面積。それが個人の邸宅なのだが、理沙の家も豪邸である為。初見なら間違いなく迷子になってしまうだろう。

「(うわぁ・・・此処に燐火ちゃんが住んでいるとか、何処かの世界に迷い込んだか?)」

面積があまりにも広いため、探索しようとしてもこれでは時間が足りない。手っ取り早く情報を得るためにも不自然が無いようにしなくてはならないのだから。それに綺麗なメイドさんが居たりするから、股間が喪失して後悔してしまったが、無くて良かったかもしれない。既に濡れてしまっているのは内緒だが。
無題 Name きよひこ 2020/08/26(水)18:18 id:oJMst.g. No.30736   [GJ]  [Boo]  
荷物などはメイドに任せて、エントランスに入ると大理石でできた床、白い壁、壁には燭台がいくつも並んでいて、部屋を照らしていて、真上にはシャンデリアがあり、いかにも大豪邸といった感じのつくりだ。
「あっ、理沙が普段一人で泊っている部屋に荷物は運んだほうが良いかしら?」
「それでお願い、一緒に泊まるときは燐火の部屋に行くからね」
「えぇ」
燐火ちゃんとのやりとりを終えるとメイドが普段理沙が過ごしている部屋とか案内してくれた。部屋の内部についてに関してだが豪邸の客室といった感じで高級そうな絨毯が敷かれている
 あるとすれば、高級感が溢れる大きいベッド、机、椅子、電話(内線しか通じない)、ソファー、クローゼット。イメージ的にはディズニーのホテルに泊まっていると想像したほうが良いかもしれない。漸く一人になった事に大きくため息を吐いてしまう。理沙の魂を捕食したことで俺の思考が仮に暴走しても絶対にばれないと言う事が把握できたが、身体だけは素直に反応してしまう事が問題があった。女の子の身体だからこそ性的興奮しても問題ないと言う緩みがあるかも知れない。
無題 Name きよひこ 2020/08/26(水)18:28 id:oJMst.g. No.30737   [GJ]  [Boo]  
「やっと一人になれたわ、女の子の買い物って本当に長い。ボロとかは出ることが無いとはいえ。やっぱり私の身体は正直に反応しちゃうか」
下を見下ろすと二つの先端は激しく主張している、服の上から見れば誰でも明らかなのだが、他の人にばれないように様々な仕草で誤魔化してしていたのだ。股関節を触れると今も透明な液が溢れている。正直になっても大丈夫と確信した上で自分の欲求を表に出てしまったが、全て理沙が普段から過ごしている表情や仕草へと強制的に反映されるから問題ない。勿論、解除することが出来るのだが、そんなことをすればまた理沙になりきる為に"意識を集中しなければならない"。
「今は気が抜いても私の仕草に強制的に変更されるからボロが出ないけど・・・やっぱり、解除するのは駄目ね」
漸く一人に慣れた事もあり、理沙の全てを掌握しているかどうか。再び彼女の記憶を引き寄せ、何か問題が無いか一つ一つチェックする。気を失ってもこの身体に留まるようにしたり、まるでメンテナンスをしている気分だ。
無題 Name きよひこ 2020/08/26(水)18:40 id:oJMst.g. No.30738   [GJ]  [Boo]  
身体の異常が無いか、理沙の人格と見比べて微調整をする。幾つかチェックをしている内に身体が反応しないようにしようと幾つも試したが不可能と判断した。それが無くなれば男である俺の人格が無くなってしまう事になるからだ。
太郎の人格と理沙の人格が一つになった影響ともいえるが、可愛い女の子を見る事で性的興奮すると言う事実に関しては、憑依する前は男で生きていた証明にも繋がるため。改めて新しい人格を受け入れることにした。これからはこの器がメインとなるのだから。
「・・・さて、私の人格がアップデートしたことだし。次はどうしようかしらね」
無事に燐火の自宅に侵入できたとは言え、今後どうするべきか思考することにしよう。
無題 Name きよひこ 2020/08/26(水)23:56 id:kb001aDE No.30739   [GJ]  [Boo]  
まず、この家は広すぎる。少なくとも比較的頻繁にとはいえ、家に遊びに来る
友人のために宿泊できる部屋が用意できる地点で、その広さが実感できると
言うものだ。その気になればこの部屋で寝泊まりして過ごすことも可能だろうが、
それではただ泊まりに来ただけだ。今回についてはそれは得策ではない。
考え事をする、あるいは「理沙」であることに疲れた時にこの部屋を使えば
いいだろう。

となるとやはり、本腰を入れて調べるなら燐火の身体を手に入れるほかないで
あろう。性能のいい理沙の脳の隅から隅までを調べつくしたが、この家の構成は
さすがにすべて把握できてはいなかった。しかし、長年住んでいるものであれば
話は違う。使用人の肉体に乗り換えるのも考えられるが、それでは「社長への
復讐」からは遠ざかってしまう。快楽に興じるのもいつかはやってみたいものだが、
今回については愚策であろう。

そして燐火の肉体に入り込む手段としては、やはり彼女と遊ぶほかないであろう。
元々そのつもりで来ているのだ。燐火と遊びながらそれとなく情報を吐かせたり、
PCのパスワードを入手したり、目的を打ち明けるのも状況を見て行おう。
場合によっては乗っ取らずとも良質な情報と協力者を得られるかもしれない。
何ならサブボディは家で調達すればいいのだから。
無題 Name きよひこ 2020/08/27(木)00:00 ID:1h/pRTzE No.30740   [GJ]  [Boo]  
遊んでいる間に、睡眠薬を本人が飲めばそこで勝負ありだ。睡眠の具合を
確かめつつ、情報を探る、あるいは燐火の身体に乗り換える、それはその場の
状況を見て判断しても遅くはないはずだ。

しかし、この豪邸である。今日のところは「俺」の自宅に行くのは断念せざるを
得ないであろう。明日起きてから、というのが恐らく最適解と考えられる。
何せ時間はあるのだ。ゆっくり考えればいい。

そして私は、ここまでの思考を難なくこなしてしまったことに今更気が付く。
やはり、理沙という少女はかなり優秀なようだ。少なくとも太郎であれば
3日は費やして半分、といったところであろう。つくづくいい身体を手に入れた。
その事に、思わず身体が興奮してしまう。こうやって自分だけの時は、自分が
男であったこの象徴を思い出させればいいだろう。そうすれば、自我は崩壊
しない、そういう自信がある。
無題 Name きよひこ 2020/08/27(木)12:19 id:f7VjeyZA No.30746   [GJ]  [Boo]  
基本的に男と言うのは、綺麗な女の子を見て性的興奮しないと言うのはあまりにも可笑しい。実際に燐火ちゃんを見ただけで恋人にしたいし、今すぐ襲って胸を触ったり快楽を求める位の魅力が備わっている程だ。理沙の思考は親友を大切にしたいと言う気持ちが強いのだが既に俺と言う欲望が備わってほんの僅かだが理沙として相応しくない部分も入っている。男であったこの象徴が無くなれば自分と言う存在が無くなるのと等しい。彼氏である武田とはいずれにせよ縁を切るべきかもしれないが、元の自分を忘れないようにしよう。さて、思考するのはこれ位として荷物を整理するかな。着替えなどは既に用意されているから、ぱぱっと着替え直そう。
無題 Name きよひこ 2020/08/27(木)12:31 id:f7VjeyZA No.30747   [GJ]  [Boo]  
「・・・そうだ、危うく忘れるところだった。念のため、念のためもう一度チェックしておかないと」
すぐに着替え終えるとすぐに理沙の人格を呼び寄せる。今の俺は燐火ちゃんを見るだけで理性を抑え込める事なんて不可能だ。少しは我慢できるかも知れないが仮に俺の欲が暴走して理沙の人格が消えて”素の口調”になることだけは何がなんでも避けなければならない。一緒にお風呂とか入れば息がはぁはぁとしてみっともない姿になるのだから、理沙の人格を無意識に発動するように入念にチェック。それを終えるとにやりと笑みを浮かべてしまう、下品な笑みのはずが気品がある笑みへ。誰か襲おうと行動しようとしても行動はしない。理沙の人格が俺をサポートしてくれているのが充分把握できる。身体だけは正直に反応しているが、これは男の子として当然の反応であるためくすりと自然に微笑んだ。
「・・・しっかりと私になりきっているみたいね。”貴方の正体は絶対に漏らさないように誓うわ”。全ては復讐の為に」
メインボディとなった理沙の口から自然と俺の駒になる為の忠誠心を見せる。さて、そろそろ燐火ちゃんの部屋に突入するとしよう。深呼吸をした後、彼女の部屋へ向かう。今は平常心として落ち着いているが、俺の心が暴走しないように心掛けるとしよう。ばれないと理解しているが自制心を持つ修行とするまでだ。
無題 Name きよひこ 2020/08/27(木)17:20 ID:66rfuLrA No.30753   [GJ]  [Boo]  
「燐火、私だけど入っても良い?」
「えぇ、大丈夫よ」
内側からロックが解除され、高級そうな木造のドアを開ける。入室すると、高級感漂う絨毯や皮のソファ、高価の絵画などによって彩られている。まるで貴族が住んでいそうなお部屋で此方が泊まっているお部屋よりも遥かに高い。燐火の部屋に入る為に鍵とか使わないと行けないので、気軽に入室出来るのは親友である理沙と燐火の両親だけだ。セキュリティは万全なのにも関わらず。此処まで侵入出来ると思うと自然と笑みを浮かべてしまう。
「今日は本当に楽しかったわ、理沙の笑顔が見られて凄く嬉しい。貴女を見ているだけで何だが心がぽかぽかして・・・歯がゆいわね、言葉が思い付かない。」
「此処まで素直過ぎる燐火の姿にちょっと驚いちゃった。男の子が目撃したら絶対に襲われるよ、無防備のままで良いの?」
「ふふっ、それなら私を襲ってみる?獣のように」
「そんなことをするわけ無いじゃん、さっきから色々と私に誘惑しているような感じがしているけど、何かあった?」
無題 Name きよひこ 2020/08/27(木)17:28 ID:66rfuLrA No.30754   [GJ]  [Boo]  
ミステリアスな魅了に耐えきれず、襲いたい気持ちになってしまう。自然と理沙の人格が俺の欲を漏らさないようにしてくれて助かっているが、普段の彼女とはあまりにも違う雰囲気を漂わせている気がする。何があったのか質問をしてみるとくすりと口元を緩ませて。
「・・・そうね、理沙と出会ってから。何故か解らないけど、恋人と一緒に過ごしている雰囲気って言うのかしら。居心地が良いみたいな感じで、おかしいわね。目の前に居るのは理沙なのに、どういうわけか”太郎さんと話しているみたいで”・・あっ、ご、ごめんなさい!今の言葉は忘れて頂戴」
「ふふっ、それなら今日の夜は一緒のベッドで眠るなんて出来るかな?なんて、ね」
無題 Name きよひこ 2020/08/27(木)17:35 ID:66rfuLrA No.30755   [GJ]  [Boo]  
燐火ちゃんの表情は頬が真っ赤になって、無防備に晒されるその身体を今すぐにでも貪りたいと思考してしまう。理沙の人格がそれを防いでは居るものの、此処まで可愛らしい彼女の姿は見たことが無い。俺が理沙の身体に憑依したことの影響かもしれないけど、此処まで信頼を得ているとは思わなかった。彼女の部屋を見渡すとノートパソコンとメモリースティックが刺さっており、どうやらあれが俺の目的かもしれない。
無題 Name きよひこ 2020/08/28(金)00:51 id:fMsSMCeM No.30764   [GJ]  [Boo]  
「ああ、ごめんなさいね。いま片づけるわ」
「もしかしてお仕事?大変ね。期待の後継ぎって言うのも」

燐火ちゃんから情報を引き出そうと、彼女を心配している言葉を作り出す。理沙の身体は俺の言葉から、
「気の毒そうで心配していそうな表情」をチョイスして演出し、声色を補正してくれる。

「ええ・・・、まあね。正直なところ何で私がやらないといけないのか、って思う時はあるけどね・・・」

いそいそと片付けながら、燐火ちゃんは語る。どうやら「当たり」だったようだ。
あのメモリースティックには会社に関する何かしらの情報が入っているようだ。一人娘の彼女は両親から
多大な期待をかけられ、後継ぎとしての英才教育を施されている。仕事の一部を彼女に振るのもその一環
らしい。内部統制的に非常に問題ではないかと思うのだが、社長、いや、お父さんとしてはある種の
「トカゲのしっぽ」のような扱いらしい。将来的には会社に入社させ、出世させるのを引き換えに元社長と
燐火の父は契約を結んだ、というのが大体の流れのようだ。
彼女に限らずこの会社にはそういう流れがいくつも存在し、それでリスクの分散を図っているようだ。
父親のずる賢さに反吐が出るが、理沙の身体がその表情を包み隠してくれた。
無題 Name きよひこ 2020/08/28(金)01:06 id:fMsSMCeM No.30765   [GJ]  [Boo]  
俺は燐火の頭を抱える形で彼女を抱き寄せた。確か、仕事を任された最初の頃に燐火が
病みかけていて、ひどい顔をしていたことに気が付いた理沙が今と同じ形で彼女を
抱きしめた、というのが親密な関係に至った始まりらしい。理沙が取引相手の社長の娘
ということもあり、「気にしないでいい相手」に飢えていた燐火ちゃんとしては、
心から安心して一緒に過ごせる存在という、貴重な友人であるようだ。

抱きしめられた燐火ちゃんは一瞬力がこもったが、まるで母親に抱かれる子供のように
身をゆだねてきた。俺は理沙ちゃんがいつもしているように、背中を優しくさすりながら
燐火ちゃんをリラックスさせていく。ミステリアスな彼女から発される柔軟剤の穏やかな
匂いが、俺を興奮させそうになる。

「ほらほら、あんまり無理しちゃだめだよ?リラックスリラックス」
「いつもごめんね・・・。理沙だから言うけど、最近ちょっと許せないことがあってさ」
「どうしたの?」

聞き捨てならない言葉を発する燐火ちゃんを見て、抱きしめるのを止めて彼女の横に座る。
そこに映った彼女の表情は、決意に満ちたものであった。

「理沙のお父さんの事、悪く言いたくはないんだけど・・・」
「大丈夫よ。その辺は私もわきまえてるから、遠慮なくいって?」
「ありがとう・・・」

決意したように燐火ちゃんは一呼吸置き、私に告げた。

「最近、太郎さんをリストラしなかった?」
無題 Name きよひこ 2020/08/28(金)12:24 ID:/dwJN/BA No.30774   [GJ]  [Boo]  
その言葉に思わず動揺してしまう、何故彼女が知っているのか思考停止になってしまった俺だが理沙の人格がそれを覆い隠すように疑問を浮かべる表情へと変更する。リストラとはどう言うことなのか?父親の事を知らない彼女だからこそ解らない雰囲気を漂わせて、燐火に問いかける。
「・・・リストラ?それって、どういうこと?」
「やっぱり、貴女は知らなかったみたいね。私が貴女の会社について調べてみたけど、会社の営業不振、コロナウィルスの影響のせいでもあるけど。全ての責任は太郎さんだと発表があったのよ」
そう言うと、燐火はスマホを取り出してネットニュース等を見せた。そこには幾つかの不正が発覚、全ての責任はリストラした人材であると言う事や。そこには野口太郎の事も書いてあった。理沙ならそのリストラにされた人物に関してはどうでも良い、自分の都合の良い事だけ考える事もあり。絶縁する覚悟で燐火は真実を口にした。本来の理沙なら私のお父さんがそんなことするはずがないと文句を言う所なのだが。
無題 Name きよひこ 2020/08/28(金)12:35 ID:/dwJN/BA No.30775   [GJ]  [Boo]  
「・・・理沙、私は太郎さんの事が好き。両親は私が男と付き合わせないように幾つか警戒されているけど、同性である貴女にしか真実を告げることが出来ない。お願い、貴女の会社の不正を暴くためにも協力して欲しいの。私が知っている情報は全て提供する、一人じゃ駄目。何だったら、”私の身体を捧げても構わない”。」
そう言うと、燐火は席を立ち上がり引き出しの中から信じられない物を目の前に出した。それは”憑依薬”と書いてあるラベル、この瞬間。俺は目の前に居る彼女は俺の為に此処まで人生を捧げるこの行動に驚きも隠せなかった。
「理沙の所に向かう前、私は太郎さんの家に侵入した、そこに置いてあったのは憑依薬が2つ。一つは空だったけど、目の前に居る太郎さんは既に心臓が動いていない、冷たくて・・・絶望した」
「り、燐火・・・何を言っているの?」
「だから、ね。私は考えたの、この憑依薬を使って。貴女の身体を全て奪って。太郎さんをリストラした貴女の会社に復讐すると・・・交渉よ、理沙。私の復讐に協力してくれるかしら?拒否するのなら、この憑依薬で貴女の人生を奪うわ」
無題 Name きよひこ 2020/08/28(金)12:44 ID:/dwJN/BA No.30776   (-3 pts.) [GJ]  [Boo]  
その表情はまるで恋人が死亡した事で、絶望し復讐する。まさに、自分と同じ立場である人物と遭遇した。全て俺の為に復讐すると言うか、親友を犠牲にしてでもやるとかもはや人格を疑うけど。

これは確信した、目の前に居る燐火は・・・


「・・・此処まで、俺の為に復讐をするなんて。本当に狂っていない?」
「えっ?急にどうしたの。突然俺とか言って・・・理沙と話をしていたのに、いえ。もしかすると、貴女は理沙じゃなくて」 
「流石に頭の回転が早いね、一瞬だけ”素”の部分を見せたけど。中身がばれると不味いからさ、理沙は既に補食しちゃったかど」
くすりと理沙の人格を呼び寄せて、自分の正体を再び隠す。困惑する燐火の様子に漸く納得したのか、正面から抱き付いてきた。その様子はまるでずっと待っていた、そんな感じの笑みだ。
「良かった、貴方が無事で。理沙なんかどうでも良い、貴方が居るだけで幸せよ・・・!」
無題 Name きよひこ 2020/08/28(金)16:24 ID:/dwJN/BA No.30782   [GJ]  [Boo]  
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お互いに状況が判断した上で情報交換に徹することにした。
憑依薬の効果に関して、俺が知っている情報を開示する、憑依したい相手をイメージしながら飲むとその相手に憑依することができるとかこんな感じだ。燐火の証言によれば元の肉体は既に死んでいると確認済みのようで、既に警察は調査を開始しているとの事。その前に使用済みの憑依薬の瓶と封を開けていない憑依薬、後はメモリースティックを持ってきたとか。死因については既に調べる予定とか言っていたけど。憑依薬を使ったら自分の肉体は動かなくなるとか、もはや自分自身を犠牲にしてでも為し遂げる意志が無ければ使用することが出来ないと言っても良いかもしれない。
無題 Name きよひこ 2020/08/28(金)16:37 ID:/dwJN/BA No.30783   [GJ]  [Boo]  
「使用済みの憑依薬を水で薄めて試しに飲んでみたのだけど、最初に貴方と会ったときは”青い炎”が2つ位あって・・・おかしいと考えたの。今の表に出ているのは太郎さんかどうか確かめる術は無いし、更衣室で着替え終えた貴方の姿を見たら”青い炎が一つ”になっていて。本物の理沙が主導権を取り戻したと推理したけど、まさか補食するとは思わなかったわ」
「実際に、中身がばれたら色々と厄介な事になると判断していたからね。”完璧になりきれた事が証明されて”良かったと思う。」
「貴方の判断は間違っていないわ、もし快楽に走れば取り返しのつかない事になっていたと思う。今は大丈夫だと思うけど、キスをして私の身体とか乗っ取る?」
「それは凄く有り難いけど、貴女の魂を補食する可能性があるからそれだけは避けたい・・・もし、私が何らかのトラブルが発生した時。その逃げ道として使いたいかな」
燐火の情報提供により、乗っ取る場合は相手が意識が無いときやどんなものでも受け入れる意志が無ければならないと告げられた。キスをしなければならないのが悔やまれるが、燐火の身体にほんの僅かだが俺の魂を少しだけ入れておいた、もし仮にメインボディである理沙の身体を失った場合は燐火の身体へと緊急避難出来るようにしたのは一番大きい。
無題 Name きよひこ 2020/08/29(土)03:39 id:u93VOFPI No.30789   [GJ]  [Boo]  
「あと燐火ちゃん。君はその憑依薬を飲むつもりでいるのかい?」
「ええ、場合によってはだけど今のこの身も惜しくないの。復讐に相応しい対象が
 あるなら、それも考えているわ」
「それは、出来るならやめたほうがいい」
「どうして・・・、ですか?」

燐火ちゃんの表情が変わる。その鋭い視線はまるで人を射抜けそうなほど鋭かった。

「復讐を志す俺から言わせてもらうと、君が薬を飲んでしまうと、「燐火」という人間の肉体は
 死を迎える。もし俺が君の身体に乗り換えたとしたら、今度は「理沙」と言う人間が死ぬ。
 今の状況で「燐火」も「理沙」も、いなくなってしまうことそのものが望ましくない。
 君も俺も、この立場には色々と利用価値がある」
「・・・っ!」
「気持ちは本当にありがたいんだが、残酷だけどこれが事実・・・、だと思う」

燐火の表情が変わる。悔しくも飲み込まざるを得ない、無念と諦念が入り混じったその表情は
不思議な美しさがあった。前の俺だったら説得は難しかったと思う。しかし、性能の高い理沙の
脳で考えられるようになったことでこうして燐火を、自分なりに根拠を持って説得することが
出来るようになった。
だが、実際のところ本音は別のところにある。
無題 Name きよひこ 2020/08/29(土)03:48 id:u93VOFPI No.30790   [GJ]  [Boo]  
俺は「太郎」として、出来れば燐火にはそのままでいてほしいのだ。正直なところ
自分のために泣いてくれる、無念さを理解し、復讐のために身を焦がしてくれる、
リストラの憂き目にあった同僚ならいざ知らず、そんな人がいると思っていなかった。

復讐のためなら手段を選ぶつもりはない。場合によっては燐火の肉体を使い、魂を
捕食する決断をせざるを得ないかもしれない。それでも極力それを避けたかった。
復讐を為した後、せめて彼女には真っ当に幸せになってもらいたい。太郎として
胸に秘めておくが、そのくらいしか恩を返す方法は思いつかなかった。

「ただ、私たちだけだと恐らく足りないと思うわ。そこはどうする?」
「一応・・・、当てはある」

自分の身体が既に朽ちている以上、協力者はリストラされた誰かを巻き込んだほうが
都合がいい。恐らく最初の俺と同程度の絶望は味わっている。俺自身なかなか踏ん
切りは付かなかったが、それでも同じ決断を下しそうなやつに心当たりはあった。
無題 Name きよひこ 2020/08/29(土)03:59 id:u93VOFPI No.30791   [GJ]  [Boo]  
「ウチの会社でお父さんに近い誰か、あるいは燐火みたいに協力者に近い何者か、
 それをピックアップして、そいつの身体も利用したほうがいいと思う。身内と
 会社側、両側から徹底的に潰していこう」
「そのリストは私が洗い出しておくわ。太郎さんから見て、補足できる情報が
 あれば教えてもらえると助かるけど・・・」
「もちろん協力する。何なりと言ってくれ」
「ところで、会社が壊滅したら恐らく理沙の家もただじゃ済まないと思う。
 最悪路頭に迷うことになると思うけど、太郎さんはその身体、気に入っている
 かしら?」

・・・、盲点だったかもしれない。復讐に傾倒するあまり、その後の事はあんまり
考えていなかった。そう、確かに元社長が破滅すると理沙もそのまま同時に破滅を
迎える可能性もあるのだ。

「正直、元の俺と比べて顔も奇麗だし身体も軽い、頭もいいから出来ればそのまま
 もらいたいとは思ってる」
「ふふっ、なら、ちゃんと「理沙」はウチの家で引き取るから、そこは心配しないで?
 あーあ、やっぱり私、死ねなくなっちゃった」

軽く、笑うように嘆く燐火を見て、打ち明けてよかったと心底思った。これほどの
協力者を得られたことは、俺にとって僥倖以外の何物でもなかった。
無題 Name きよひこ 2020/08/29(土)11:52 ID:0D29J/SI No.30798   [GJ]  [Boo]  
「それよりも、一つだけ気になることがある。憑依薬の説明は路地裏の占い師から聞いた情報だけど、”俺の事について全て把握している”みたいだった。もしかすると理沙として憑依した後、燐火と手を組んでいることは把握しているかもしれない」
「・・・私が憑依薬を使うことも想定済みと言うことかしら?もしかすると乗っ取られる可能性も」
「いや、それ無い。さっき水で薄めた憑依薬を飲んだね?そのお陰で中身が異物かどうか判断する力に目覚めた。乗っ取られないように俺の魂が入念に監視しているし、憑依されることは無い。いや、憑依させたくないのが本音だな」
実際に燐火を守りたい、こんな俺のために復讐に走る行為に走ってほしくなかったと言うのもある。全てが終われば幸せになって欲しい、今の俺は理沙だが女の子同士で付き合うのは2~3年程。彼氏の武田や大切な妹、凪沙の事も考えないといけない。
「それなら、この憑依薬はどうするつもり?私は貴女と離れたくないけど」
「・・・頭の中で念話とか出来れば良いんだけどな」
『あぁ、それは問題ないわ。さっきから貴女の視線や肉体、意思をこっちに移すことが出来るわ。最も主導権を取ることは出来ないけど』
「・・・となると、燐火の身体を意思だけを移せば視線と肉体とか共有出来るのか」
憑依薬から生み出した奇跡に近いが覚えておいて損は無いだろう。
無題 Name きよひこ 2020/08/29(土)12:33 ID:0D29J/SI No.30799   [GJ]  [Boo]  
「明日はどの様に行動した方が良いかしら。日曜日だけど、月曜日になれば学校が始まるわよ?」
「コロナウィルスの影響でお休み期間が続いているけど、違うのか?」
「オンライン講義よ、流石に出ないと不自然になるわ。本当は貴女をこの家に保護し続けたいけど・・・守ってばかりは駄目ね」
「もう一人だけ協力する人が居れば良いけど、一応、候補は居ると言えばいるんだ」
頭の中で連想するのは、俺と同じようにリストラになった一人の女性。燐火が提示したリストを見て思い出した。名前は芽依(めい)さんだ。会社で働いていたときにお世話になった人だけど、元社長がセクハラを受けたとか小耳に挟んだことがあるけど。あれから自らの意思で退社した所を目撃している、彼女なら力を貸してもらえるかもしれない。その事を燐火に伝えると口元が緩めて柔らかい笑みを浮かべていた。
無題 Name きよひこ 2020/08/29(土)12:35 ID:0D29J/SI No.30800   [GJ]  [Boo]  
「成る程、彼女なら確かに協力して貰えそうね。元社長がセクハラを受けたことが事実なら裁判に掛け合う事も出来る、それに憑依薬を使ってその肉体を死亡扱いにする勇気があるのなら。遺書とか用意すれば効果的よ」
「遺書・・・あぁ、憑依薬を飲む前に残しておけば良かったかもしれないな」
憑依薬を使ったあとはその肉体は死亡すると言う情報が無ければ快楽によって意識を失ったあと。元に戻る肉体が存在しないから、きっと永遠にさ迷っていたかと思うと身体が震えてしまう。
「大丈夫、今の貴方は”理沙”よ。そろそろ夕食の時間だから、中身が貴方にばれないように意識を集中して。お風呂も入るんだから、恋人と一緒に入れるのは凄く幸せよ」
無題 Name きよひこ 2020/08/29(土)14:38 ID:1sUYvHb6 No.30801   [GJ]  [Boo]  
お風呂と言う単語に思わず反応してしまう、この表情をばらすわけにはいかない為。理沙の人格を呼び寄せてくすりと微笑んで。
「お風呂かぁ、燐火と一緒に入るのは珍しいけど。恋人って誰の事?」
「・・・呆れた、下品な表情を隠すために理沙の人格を呼び寄せた感じかしら?まぁ、そのほうが一番都合が良いわね」
俺が考えていることを燐火は看破する光景に思わず焦ってしまう、確かに女の子同士でのお風呂もそうだが。念願だった燐火の全てを目視することが出来る以上、性的興奮するなと言われても我慢なんかできる訳が無い。
「心の中では今すぐにでも襲いたいと推理するけど。別に貴女なら大丈夫よ?ただ、貴女の身体が正直に反応しているしね。さぁ、そろそろ行きましょう。不自然な行動とかしないで頂戴ね」
「う、うん。了解」
燐火に言われたことでコクリと頷き返す、取り合えず美味しいご飯を食べてからお風呂に入る。ベッドで一緒に眠ることになっているんだけど。俺の理性は保てるのだろうか?
無題 Name きよひこ 2020/08/31(月)01:49 id:bd9CDiNA No.30854   [GJ]  [Boo]  
今後のことを話し合っているうちに、メイドの方が俺たちを呼びに来た。
どうやら夕食の時間となったようだ。しかし、それをさらりと受け止める燐火もだが、
この身体もそれを当然のごとく受け止めているようすは、やはりお嬢様であることを
実感させる。果たして俺の器である理沙が父親の破滅とともに、この生活を失ったと
して生きていけるのかがとても気がかりになってきた。凪沙や母とともに暮らすことを
踏まえると、場合によってはいくらか資金は確保する必要があるかもしれない。
その時の凪沙が果たしてどうなっているか、そもそも「凪沙」でいられるのかは
知らないが。


通された部屋はまた10人程度が同時に食事をとれそうな、豪勢な部屋であった。
王侯貴族とまではいわないが、それこそ昔やっていた銀行員の父と実務者の息子が
血のつながりで争うようなドラマ、その一室に近いような、落ち着いた雰囲気の中に
豪華さを感じさせる、そんな部屋だった。

「今日は理沙が来ると思ったから、理沙がいつも好きな料理を用意してもらったわ。
 どうぞ召し上がって?」

彼女の語り掛けは理沙として向けられたものか、それとも俺に向けられたものか、
どちらともとれる言い回しに切り替えるとはさすがであった。
無題 Name きよひこ 2020/08/31(月)01:54 id:bd9CDiNA No.30855   [GJ]  [Boo]  
どうやらコース料理のように出されるようだ、前菜のサラダ、そして魚料理、
メインディッシュはラム肉の香草焼と、絶妙なタイミングで展開されていく。
正直なところ太郎だったころは縁のない料理であったが、不思議と、普段より
美味しく感じられた。恐らく理沙の身体の好物ということもあり、自然と美味
しく感じさせられているのだろう。これでは俺の苦手なものも案外あっさりと
食べられるかもしれない。

「あ、そうだ。アレを持ってきてちょうだい」

燐火がメイドに料理の手配を指示し、持ってこさせたのは場違いともいえる
焼肉料理であった。盛り付けはそれらしく為されているが、どう見ても酒場で
食べるような料理を出されて、空間に場違い感が漂う。

「理沙、これ前好きって言ってたよね?せっかくだから食べてみて?」

イタズラっぽい顔つきで燐火が言うものだから、ついつい食指が伸びる。
どうやら口の中も唾液で満たされているようだ。彼女の好物とは異なる、俺の
好物と言えるものだがそれを彼女の肉体に反映させてしまっているようだ。
無題 Name きよひこ 2020/08/31(月)02:14 id:bd9CDiNA No.30857   [GJ]  [Boo]  
口の中の乾いた唾をのみ込み、焼肉に手を付ける。

「これだ・・・。この味だ・・・」

久しく食べていなかった気がするその味は、まさに不満が貯まったときにビールと
ともに食す焼肉のその味であった。あまりの旨さにがっつこうとしてしまうが、
身体が動かない。あくまで上品に、ナイフとフォークを使って切り分ける自分の様に
気が付いたことがあった。

(そう言えば、当たり前のようにテーブルマナーをこなしていたな)

あくまで今は理沙の魂を捕食し、彼女の皮を被っている状態。自然と彼女の身体に
身に付いたマナー、スタイル、それらを生かして行動を行うのであろう。そして、

「普段より・・・、美味しくない・・・?」

「俺」の愛してやまない焼肉の味が、妙に不満げに思える。確かに味は整っている。
むしろ、俺にとっては最高の味わいであったはずなのに、肉体が受け付けていない。
心でおいしいと思うものより、頭でおいしいと思うものが優先される、これは発見で
あった。恐らく同時に、「理沙の好きな物」や「特技」が優先されると、分かって
しまった。
無題 Name きよひこ 2020/09/03(木)16:57 id:M5YiSNgw No.30913   [GJ]  [Boo]  
食事を終えた後、早速燐火に報告し理沙の身体にまだ影響があると告げると何故か彼女は笑みを浮かべていた。
「理沙の身体を完全に支配しているから大丈夫、その証拠に貴女の胸の先端は尖っているし、原因は私やメイドとか見て興奮したんじゃないかしら?」
指摘を受けると顔が真っ赤になり自然と理沙の反応を表面上浮かべてしまうが、こくりと頷いてしまう。あんな綺麗な人を見るだけでも色々と反応してしまうのは仕方がないかもしれない。
「一応、聞くけど。貴女は男の子と性行為とかしたいと思う?」
「そ、そんなの嫌だよ!?そんなことをしたら…私…」
「心が壊れるのは間違い無いでしょうね、快楽に溺れないように逃げ道を作ったけど。女の子同士でのスキンシップとか慣れておきましょうか」
無題 Name きよひこ 2020/09/04(金)23:27 id:cP8Oo7so No.30937   [GJ]  [Boo]  
一旦燐火の部屋へ戻り、風呂へと向かう。メイドさんが気を利かせてくれたのだろう。
そこには燐火と理沙の着替えとバスローブが用意されていた。燐火曰く「理沙が来ると
いつもこんな感じなの、だから大丈夫。貴方はちゃんと「理沙」でいられているから」
と笑っていた。

燐火に促されるままに向かった浴場は、まさに温泉旅館とでもいうべき巨大な浴場で
あった。優に5人は入れるであろう風呂にシャワー、大理石の黒くシックな色合いが
不思議と心を落ち着かせてくれた。

「一応、ウチの風呂は温泉じゃないからね?」
「いや、でもいつ見てもすごいよね。私の記憶にも家のお風呂がこんなすごいなんてないよ」
「まあ、お父様がお風呂大好きだからね。ここは金持ちの特権というか、ごり押しというかって
 感じよ。それより、どう?やっぱり興奮するかしら?」

言われて気が付いた。そう、今の俺は、理沙は裸なのだ。昨晩は今日に備えて早く寝たことも
あり、こうして彼女の、今の俺の身体を眺めるのは初めてであった。

「どうせなら、こっちに大きな鏡があるからそこで見てみるといいわ。太郎さん。貴方にとって
 新しい「私」の姿を・・・」
無題 Name きよひこ 2020/09/05(土)00:09 id:fwOr9MGk No.30941   [GJ]  [Boo]  
促されるままに鏡の前に立ち、俺の心臓は鼓動を大幅に早くする。

「・・・、美しい・・・」

この感想は、きっと「俺」の物だろう。長年のチアリーディングにより引き締められ、
鍛え上げられた全身の筋肉、引退して勉強漬けの日々の影響もあってか、それに上乗せ
されたうっすらとした脂肪が妖艶さを誘い、下着の拘束を外れてもなお、自立する釣り鐘
のような乳房、整った顔立ち、ポニーテールを解かれ腰まで伸びきった、手入れの行き
届いたサラサラな髪の毛、これが今の「俺」、本間理沙の姿と思うと、鏡の向こうの私は
頬を上気させ、身体に素直な反応を促してしまう。

「うーん、まだまだ、理沙になるにはちょっと修業が必要ね・・・。まずは毎日、裸に
 なって自分の姿を見たほうがいいかもしれないわ」
「な、なんで・・・?」
「決まってるじゃない。貴方は今は「理沙」。「太郎」さんじゃないのよ?落ち着いて
 考えてみて。鏡の前の自分を見て、欲情しちゃうような女の子って、それこそおとぎ話の
 魔女くらいしかいないでしょ?まずは自分を、いかに可愛くてきれいな女の子でも
 それが自分だと受け入れる。まずはそこからが大事じゃないかしら」
無題 Name きよひこ 2020/09/05(土)00:29 id:fwOr9MGk No.30942   [GJ]  [Boo]  
「それに、それで自分が呑まれるんだったら、貴方のお父様に対する憎しみより、
 理沙本来の家族の情愛や良心が勝ってしまうわ。理沙自体はお父様を嫌っては
 いたけど、復讐をしたいと思うほどには憎んでいなかったはずよ。基本的に
 誠実で、思いやりのあるいい子だったんだから」
「そうか・・・。そうよね。このくらいは飲み込んでみせないと、復讐なんて
 遠い話よね」

燐火ちゃんの言葉に、俺の覚悟の足りなさがまだまだ浮き彫りになってしまった。
そうだ。俺にとっては正直魅力的すぎる肉体もいい所なのだが、理沙にとっては
それは自分自身、世の中の誰よりも付き合いの長く、見飽きるほどに見飽きた
身体なのだ。これが「当たり前」に出来なければ彼女の精神の限界を超えて、
肉体本来の習性を越えた行動もとれない、当然といえば当然のことだが、これは
凄く難しい課題であった。

「まあ、まだ1日目よ。そこまで焦ることはないと思うわ。それに・・・、私と
 しては今日は正直その方が嬉しいの」
「どういうこと?」
「決まってるじゃない・・・。私が、燐火として理沙と楽しみたいだけよ」

そう言った燐火の顔は、普段のミステリアスさを何倍も強化した、妖艶な表情だった。
無題 Name きよひこ 2020/09/05(土)00:42 id:fwOr9MGk No.30943   [GJ]  [Boo]  
「ねえ理沙・・・。私の前に、真っすぐに立ってみて?」

さっきから燐火ちゃんに主導権を握られっぱなしだ。やはり彼女も英才教育を
仕込まれているのだろう。会話のペースの取り方や主導権の握り方が俺より
断然うまい。仕事を託されるということはこういう部分もあるのだろうと、
自分にないものを今更ながらに見つけてしまう。

「やっぱり、理沙の身体って本当に奇麗よね・・・。最高の身体が、
 私の想い人に捧げられた、その想い人のお手伝いが出来ると思うだけで、
 私は光栄よ」

そう言った燐火ちゃんは隅々まで身体を見渡した後、俺に抱き着いてきた。
燐火ちゃんの身体は理沙と違い、女性らしく丸みを帯び、柔らかな身体つきだ。
その感覚が、燐火ちゃんの甘い匂いが、すべてが理沙の身体を興奮させてしまう。
まずい・・・。何とか抑えないと・・・!

「うふふ・・・。何とか抑えようと頑張ってるわね。さすが太郎さん。やっぱり
 一生懸命な貴方が私は大好き。だけど、今はそんな必要はないわ。ねえ、私の
 鼓動を聞いて・・・?」

そう言って燐火ちゃんは俺の頭を抑え込み、自分の胸元に押し当ててくる。
豊満な乳房に埋め込まれる、男としてこれ以上ない快感と、「理沙」として抑え
こまないといけないという使命感、俺の頭は混乱を極めることとなっていた。
無題 Name きよひこ 2020/09/05(土)00:48 id:fwOr9MGk No.30945   [GJ]  [Boo]  
「正直なところ、私もドキドキしてるの・・・。理沙は真面目な子だったから、
 ここまで身体を許してくれなかったわ。たぶん頭の片隅に、私への嫌悪感が
 あるんじゃないかしら?」

それどころではなかった。今の頭の中は「俺」が圧倒してしまっており、理沙由来の
嫌悪感は微塵も出てこない。俺の男としての欲求、燐火ちゃんへの素直な好意、それが
理沙の記憶にある燐火ちゃんへの好意をブーストしてしまい、結果として彼女に身体を
許すよう仕向けてしまっているのだろう。感情の制御の難しさ、理沙を理沙以上に理解し、
促し、そして操る、その難しさをここで垣間見た気がする。

「この行為に、理沙としての嫌悪感を抱けるようになれば、貴方は理沙以上に「理沙」と
 して、その身体のポテンシャルを十全に使いこなせると思うわ。女の子としての
 「欲求」は私が鍛えてあげる。後は私のベッドの上で・・・、ね?」

そうして燐火ちゃんは俺の表情を見つめてくる。その上気し、目を潤ませた表情に
「嫌悪感」を抱ける日は来るのだろうか、あるいは、それを抱かずに、理沙としての
全ての感情と「太郎」としての俺の感情を貫けるのか熟慮しなければならない。
燐火ちゃんは、それを俺に教えようとしてくれていたのかもしれないと、年若い、
「師匠」から学ぶことになった。
無題 Name きよひこ 2020/09/06(日)12:33 ID:0mEOPQPM No.30973   [GJ]  [Boo]  
「今の思考は色々と女の子の事について知りたい表情になっているわね?太郎さんの欲が溢れていて、理沙に申し訳無いと言う罪悪感が全く感じられないけど・・・いえ、いっそのこと。溺れさせるのもアリかしらね」
それはどういう意味なのか、問いかけようとするが。女体の身体について全て知ることが出来る嬉しさの方が勝ってしまい、燐火に全て委ねる方針に思考。思いっきり師匠を強く抱きしめてしまう。
「素直に行動する貴女は素敵よ。知っていると思うけど、理沙はレズじゃない、この様に私と身体を重ねる行為に関しては否定するわ。だからこそ、”受け入れてしまえば良い”。私を受け入れて、太郎さんの魂を安定させるの。女の子は好きと言う思考こそ、貴方である自己の証明に繋がるのだから。」
無題 Name きよひこ 2020/09/06(日)12:43 ID:0mEOPQPM No.30974   [GJ]  [Boo]  
そっと優しく唇を重ねると燐火の心から溢れだす、俺としての感情が包み込まれる感覚を味わう。目の前の彼女が自分自身の身体を提供しても良いように、最悪な事態にならない為の保険と言うことだろうか?キスを終えると目の前に”理沙”が居る。
「これ・・・どういう・・・」
どういう意味なのか、焦ってしまう俺は口を開くと全く同じように喋ってしまう。暫くすると視界が暗転して目の前に燐火が妖艶な表情を浮かべていた。
「成功よ、どんなに離れていても私の身体に逃げることは出来るにしたわ。念話とかすれば情報共有が出来る、保険をかけたけど。男には決して寄せ付けないように工夫を凝らしてみたけど、ね。嫌な視線を感じたら、私がサポートするから」
初日から此処までしてくれることに感謝をするしかない、運はとても良いかもしれないが。まずは理沙の身体を改めて馴染ませることが必要だ。目の前に居る、燐火を受け入れる。恋人になりたいと思った彼女の想いを応えなければならないのだから。


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